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◇◇◇◇◇
「本当のところは本人に聞いた方がいい」
麻琴は躊躇いながら言葉を続けた。
「俺は月下が彪の名前を騙っていたと考えている。
――あくまで俺の考えだが」
雫大丈夫か――?
遠くから麻琴の声がする。ようやく涙が枯れた薄暮までの長い間、麻琴にそっと優しく抱きしめられていたのだった。
―
――
―――
「雫、そろそろ送って行くよ。ここに居たいなら俺は構わないけど?」
私を包んでくれる温もりがあまりに心地良くて、今の状況を忘れていた。
『や…うそっ!?もうこんな時間!?
授業…あっ、麻琴は時間大丈夫っ!?』
慌てて離れた拍子にデスクに激突して『~~~~~~!!』
悶えた。
暗くて部屋の様子がわかりづらかったのだ。
「怪我してないか?
送ってやるからこれ以上怪我すんなよ、明日彪と予定があるんだろ」
彪に怒られちまう。
そう言って私の頬をつまんだ。
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