第13章

14/25
前へ
/681ページ
次へ
身支度して玄関を出ると、彪が電柱に寄りかかって待っていた。 『おっはよ、お待たせ』 「おせぇよ!ったく」 『こらぁ‘おはよー’でしょ。朝なんだから挨拶が先でしょう、もー』 電柱に凭れてスカシてる彪の背中をバシバシ叩く。 「ってぇ!挨拶しろとか、叩くとかウチのババアか。 ホレ行くぞ。 ――離れて歩けよ」 だったら待ってなきゃいいのに。 昨日麻琴に送ってもらって帰宅した後で目元を冷やしたとはいえ、長い付き合いの彪には散々泣いた後だとバレているようだ。それなのに何も聞いてこないのは、興味が無いって事なんだろうか。 なんとなく無言でいるうちに駅に着いてしまった。 くるりと振り向いた彪が 「雫、具合悪くなったら無理しないで直ぐに言えよ」 ん、と言って右手を出した。 ?何? 躊躇っていると私の左手を取って何かを握らせる。
/681ページ

最初のコメントを投稿しよう!

117人が本棚に入れています
本棚に追加