第13章

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左手の中にはキップとキャンディ。 左手から斜め上の彪の顔に視線を移すと 「今日のキップと、キャンディは気分が悪くなったら食え。昔はそれで落ち着いてただろ」 昔ってかなり小さい頃なんだけど。 だけどぶっきらぼうな言葉の中から優しさが伝わってくる。 『ありがとう彪。いざって時はこれ食べて元気になるからね』 もらったキップを自動改札に通して中に入ったのに、彪は続いてこない。 「俺はもう少ししたら行く、先行ってろ」 頷いて手を振りホームへ向かう。 ホームには既に数人が待っていた。買い出し係の男子二人は車で行くらしい。 既に男子が二人ここにいるので、来てない男子は彪だけのようだ。 彪かと思いとびきりの笑顔で振り向いた女子は明らかにガッカリした。 「ちょっとあんた、なに準備サボってんのよ。買い出しあんたの係だったんだからね!」 そんな話は聞いてませんでしたけど… 「あ、おはよー彪♪」 彼女の視線がスッと私の後ろを捉えたかと思ったらお待ちかねの主役の登場だった。 「あぁ、どーも」 彪寝起きー?かわいいー!黄色い声が早朝のホームにこだました。
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