第1章

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窓を開けたそのついでに部屋のドアを開ける。 『お帰りはこちら』 「いや、まだ帰らないからいいや」 どっかりと私のベッドに腰をおろしてケータイを弄りだす。 …あんたがよくても、私は良くない。 『いいから早く退いて。そしてさっさと帰ってあの騒ぎを何とかしてよ、近所迷惑だから』 そういって彼の腕を引っ張って立たせようとするが、びくともしない。 窓の外では二人の女の子の罵り合いが続いている。 二人なら今日はマシだと諦めるべきなのか… 「わかった、じゃあ本人に聞きましょ。ちゃんと身を引きなさいよね」 「こっちのセリフよ!目の前で連絡先を削除してもらうからね」 ~~♪♪~~♪ 「もしもし、何?」 通話を押して、あからさまに面倒臭そうな声をだす彼。 「何、じゃないわよぅ! どこにいるのよ!?」 「そんな事より、私とこの女どっちが好きなの!?この女に帰れって言ってやってよ!」 電話本体より開けっぱなしの窓からダイレクトに聞こえてくる。どうか私が巻き込まれませんように…
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