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森崎彪(ひょう)
大学1年で私と同じ学部。幼少の頃から女が群がる位容姿端麗で、最低な野郎。
『ちょっと彪ってば。そろそろ帰っても大丈夫なんじゃないの?』
眼を閉じている彼の腕に手を掛けて揺さぶると、振り払われた。
「そういう事止めろ。俺はAランク以外にベタベタさせるつもりはねぇ」
そっ…それが人のベッドで寝てる奴のセリフかぁ!?
彪の頭の下の枕をグイッと引っ張って、顔に思い切り叩きつけた。
「な゛っ!!」
飛び起きた彪の顔からハラリと枕が落ちた。彼のスッと高い鼻が赤くなっている
「ってぇ~…」
背中を丸めて顔を押さえる彪。ザマーミロ!
すっかり油断していたら、彪の腕がニュッと伸びて手首を掴まれた。
『キャア!何よ手ぇ離してよ』私の細やかな抵抗空しく、じわじわと彪の方へ引っ張られる。
ガラッ
「雫?いるの?
雫んとこに彪行ってない?」
窓の外から聞こえて来たのは、彪のお兄さんの優しい声。
『あっ、ツキ兄だ』
全力で彪の手を振り切って、窓に駆け寄った。
チッ。
彪の舌打ちに苦笑する。お兄さんをやたらライバル視するのは困ったものだ。
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