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「だからもう紗枝も
自分の気持ちに正直になって。
お前が今、一緒にいたいのは
本当は誰なのか…
自分でも気付いているよね」
「……………」
「俺には亜希がいる。
だからひとりぼっちじゃない」
「でもっ…」
言いかけた私の唇を
孝之の指先が止める。
「いずれ離れる
覚悟をしてるのに
復帰するまで引っ張るなんて
男らしくないって…
……亜希に怒られたよ」
柔らかな微笑みと共に
落された孝之の言葉で
私の涙腺は完全に崩壊した。
…まだ15歳の亜希ちゃんが
そんな大人な発言をしたなんて。
あの無邪気な笑顔の裏側に
彼女はどれほどの
苦しみを抱えて
生きて来たのだろう。
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