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聖にLINEを入れてから
もうじき1時間。
いまだに姿を現さない彼は
やはり仕事が忙しいのかな。
さっきまで焦がすように
暑かった太陽が
盛り上がった入道雲に
その光を遮られて行く。
今夜も夕立が来るのかな。
ぼんやりと見つめていた
空の雲がどんどん膨れ上がって
やがてすっかり太陽が
雲に飲み込まれた時だった。
「紗枝ちゃん!」
突然開いた扉から
私の名を呼びながら
駆け出して来たのは
松田先生だった。
…え?
なんで松田先生が?
首を傾げた私に
駆け寄った松田先生は
ハァハァと息を切らしていて。
…嫌な予感だけが
私の中に駆け巡る。
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