2105人が本棚に入れています
本棚に追加
真っ白いベッドに横たわった
聖の顔は黄褐色に変色していて
思わず嗚咽が漏れそうになり
口を手で塞いで堪える。
「とても危険な状態です。
どうか…伊吹先生の手を
握ってあげていて下さい」
ベッドの脇に
椅子を用意してくれた
染谷師長に頭を下げて
私は彼の傍に腰かけた。
機材が繋がれていない方の手を
両手で握りしめた私の姿に
染谷師長はそっとカーテンを
閉め二人だけにしてくれる。
きっと染谷師長は
松田先生から私と聖の関係を
聞かされているのだろう。
だけど…
あの屋上で抱きしめられてから
一度も触れていなかった
彼の手が無性に冷たくて…。
思わず握りしめた手に
おでこをつけて必死に祈る。
聖…死なないで。
最初のコメントを投稿しよう!