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泣き崩れる私を見つめながら
松田先生は静かに
その言葉を落とした。
「紗枝ちゃん、無理を承知で
お願いしたい。
旦那さんには申し訳ないけど
今は聖のそばに
いてくれないだろうか?」
「…えっ?」
見上げた松田先生は
私に言い聞かせるように
語りかける。
「今のあいつにとって
生きる希望は
紗枝ちゃんだけなんだ」
…それは…たぶん違う。
悴田さんに聞いた話でも
私が彼のあの行動の意味を
考えてみても…
出た結論はそうじゃない。
小さく首を振った私に
松田先生は首を傾げ
瞳で問いかけて来た。
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