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聖が求めていたのは…
やっぱり私ではなく
お腹にいたかもしれない
子供だということ。
それでも…
私が黙っていれば
彼がこのまま移植を
受けてくれるのなら…。
「わかりました。
松田先生、聖には言いません。
彼が移植を受けるまで」
その言葉にようやく
頭を持ち上げてくれた
松田先生は悲しそうに
瞳を揺らして呟いた。
「だけど紗枝ちゃん、
聖はもし子供がいなくても
紗枝ちゃんと出逢って
本当に変わったんだ。
全てを諦めることしか
して来なかった聖が
前向きに物事を
考えるようになった。
だから聖にとって紗枝ちゃんは
かけがえのない
存在なんだからね」
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