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松田先生はきっと
私を気遣ってそう言って
くれたんだろう。
この人はとても
心の優しい医師だから。
「そうだといいなと
思っています。
とりあえず一度孝之の
病室に着替えを届けてから
透析室に行きますね」
溢れていた涙を拭いて
私は真っ直ぐに松田先生を
見つめそう答えてから
屋上を後にした。
階段を下りながら
グチャグチャだった心を
落ち着かせて。
何事もなかったかのように
孝之の病室のドアを開けた。
「孝之、遅くなってゴメン」
「寝坊したの?」
「あはは!バレた?」
聖の前でも孝之の前でも
私は自分の感情を押し殺し
二人が復帰出来るまで
こうして作り笑いを浮かべて
行くしかないのだ…。
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