出会い

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「はぁ……やってしまった……。まさかの開城時間が17時までとは……」 今、私は二条城の前でモーーーーーレツに落ち込んでいる。 何故って?それは二条城にせっかく来たのに、中を見ることが出来なかったからだ。(正確には受付してくれる16時半までに間に合わなかったんだけどね…。) 勢いだけで来てしまったので、開城時間とか全く調べずに来てしまったのがそもそもの間違いだった。 (せっかくの二条城見たかったのにな……。ピンキーリングもして来たのに……。) 私は右手の小指にしたピンキーリングを見つめてため息を付く。 このピンキーリングは亡くなったお母さんの形見で、五芒星の形をしている。点になっている部分はそれぞれ赤・黄・青・緑・黒の色をした石が埋め込まれていて、とっても素敵なものだ。 そのお母さんがよく話をしていたのが、この二条城。昔ここには道があって、あわわの辻という交差点があったってことを。そこでは沢山の妖怪の行列がみれたって話。 あくまで架空のお話に過ぎないと言われればそれまでだし、私自身も物語として受け入れているけど、その話をしていたお母さんの楽しそうな表情は今でも鮮明に覚えている。母との数少ない思い出の一つだ。 (そんなお母さんのためにも、見せてあげたかったな……まあ、また来ればいいんだけど。) そうやってトボトボと歩いていると、通りが目に入ってきた。 (あ、何かこの通り歩いて見たいかも……。 まあ、どうせ暇だし……行ってみよう!) 私はそう思って、二条通を歩いて行った。
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