1人が本棚に入れています
本棚に追加
***
京都駅に降りてから地下鉄烏丸線に乗り、東西線に乗り換えて三条駅で降りた。
三条駅の裏手あたりに古い町家が売りに出されていたので、その物件を買ったらしい。
……というのも、私が町家に住みたいなとボソッ呟いたのを聞いていたみたいだ。それで父が京都の学者仲間の知り合いの不動産会社の人に、いい物件はないかと聞いて買ってしまったらしい。
(多分、高かったんだろうな………)
そんなことを考えたが、新しい家に着いた瞬間、その考えはどこか遠くへと消えてしまった。
「わぁ…っ!!!すごい!!!素敵な京町家だね!」
「だろー!お父さん、千春のために奮発しちゃった!」
父はそう言いながら、やたらと抱きついてくる。
(こんなに素敵な家を買ってもらっておいて、抱きつかないで……とは言えない。
しかし、語尾に見えるハートは要らない……!!!)
しまいに娘の私にキスまで(しかも唇だし)しようとしてきた時、神様が降りてきた。
ーーーーープルルル……プルルル……
「お、お父さん!電話だよ!!!」
「そんなのどうでもいい。今は千春とのことの方が大事なの!」
最初のコメントを投稿しよう!