4人が本棚に入れています
本棚に追加
「今ちょうどイメージに近いデザインを見つけた所です」
「良かったです」
と彼女は微笑んだ。
――さっき、悪口を言われていたようには見えない爽やかさで。
何でこんなに自然なんだ。
むしろ、不自然すぎる勢いで自然な振る舞いだ。
以前といい、今日といい。彼女の行動にますます彼女が分からなくなった。
「あの」
彼女が顔をのぞきこんでくる。
「はい」
「デザイン。見せていただいてもいいですか?」
「あ、あぁ。そうですね、……これなんですけど」
慌てて頭を仕事モードに切り替える。
危ない、危ない。
危うく思考が彼女で一杯になるところだった。
彼女のことで頭が一杯……?
まるで、彼女が気になっているみたいではないか。
そんなわけがない。
断じて違う。
…………はずだ。
またも彼女のことを考えていた自分の頭を恨めしく思い、今度こそ思考を仕事に切り替えた。
最初のコメントを投稿しよう!