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* * * * 「ん、お帰り、菊池。ソルはどうだった?」 会社に着くなり、そう尋ねてきたコイツは、同期入社の高橋幸弘<タカハシ ユキヒロ>だ。 同じ課に勤めていることもあり、同期では一番親しい。 「あぁ。中々仕事はできそうな女だったよ」 「女?」 「うん。"鉄の女"って言われてたな」 ――ブハッ 高橋が吹き出した。 汚い。 顔をしかめて奴を睨み付ける。 「悪い。つい、な。だって、鉄の女って何だそりゃ」 「うん。俺もそう思ったんだけど、まぁ分かる気がする」 「ふーん。」 「何だよ、その意味深な相づちは」 「別に?」 ――ただ、お前が女を評価するのが珍しいと思っただけ。教えてやんないけどな。 俺は気に食わない顔をし、高橋の隣のデスクに座った。
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