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「…………雪って、こんなに白かったっけ。」
街灯の明かりを集めた雪は、暗がりの中でもキラキラと繊細に反射する。
…………あぁ、そっか。
私は、自分勝手に闇に潜り込んで、色のない世界に閉じ籠っていた。
だけど本当の世界は。
こんな僅かな明かりの元でも無数の色が競うように輝いている。
それに気付かせてくれたのは――――。
「……フウちゃん?」
数歩先で寒さに鼻を赤くしている高梨君が振り返り、私は手にした雪を天高く放り投げた。
パラパラと降ってくる雪の塊が頭や肩に当たって砕ける。
一瞬ポカンとした彼は、ニヤリと笑うと手近の雪を掻き集めた。
「雪合戦、開始!」
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