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「わっ!冷たっ!フウちゃん、顔狙ってるだろ?」
「違うよ。コントロールが悪いだけ。」
私達の間で行き交う雪玉。
手加減してくれている高梨君に対し、私の投げたそれは彼の肩に当たって見事に弾けた。
眠り始めた街を起こさないように声を殺しながらも、闘いは白熱していき――――。
「きゃっ!」
「フウちゃん!」
熱中し過ぎて転びかけた私の側に高梨君が駆け寄る。
「大丈夫?」
「うん。」
二人で顔を見合わせると、どちらからともなくクスクスと笑い出す。
「あんなにはしゃいでるフウちゃん、滅多に見られないよね。」
「大人になって雪合戦やることになるなんて、思ってもみなかった。」
「ま、今日のところはドローってことで。」
身体を動かしたせいか、互いの吐く息が一層白さを増している。
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