相合傘

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 それこそ、  羽毛の絨毯で、昼寝に興じる事や、高価な餌にありつく事は御座いませんでしたが、  お側にいるだけで、私は、満ち足りていたのです。  お話が出来れば、  この上ない至福、  私が人の娘に生まれたれば――、  と、亦も自分の生を恨んだりも致しましたが、  何と申しますか、  飼猫を見た時のものとは、異なる感情と申しますか、私は生涯、お側でお慕いしたいと申しますのか、  怖かったのです。  この幸せが、何時か思い出に転じてしまう事が……、  同時に更に上の、幸せも望んでしまいました。  今でこそ、  もう一度、お逢いしたいと言う感情は、頭の片隅には御座いますが、それはもう、出来ません。  だからこそ、  私はサトリ様の心情が、解らなくも無い、と言う訳で御座います。
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