相合傘

5/25
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
 旅館を出られた、サトリ様を探すのは、それ程、困難な事、  従業員を総出で山を探しても、何日何月、或いは、何年掛かってしまうか、私にも判りません。  なので、  「悟様を探す、何か良い妙案はありませんか?」  従業員に案を募れば、  「必要だと判れば、自ら旅館に戻るのでは?」  「戻って来なければ貸傘にするのも一興」  「古いので、新しい物を見繕うので無かろうか?」  皆が皆…、  自由気儘で奔放な事を口にするので、私はどうしたものかと困り果てたので御座いますが、  悟様に、傘をお忘れに為る程の事由があるなら、それは、傘がその理由に付いて、何か知っているのかも知れません。  愛着が籠もった傘ならば、記憶も、サトリ様と共有している物かと思われ、  九十九神が宿れば、傘は私共と会話が出来、お忘れになられる迄の出来事を聞き出せるかも知れません。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!