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私共からすれば、それは信じ難い事。
物怪と人間の男女が、相合傘で下山する等、
然し、
寂しく、辛く、恐ろしいと心から訴える娘の心情に応え、サトリ様は、話し相手になり、下山なされたが故、
容姿が、如何な物であれ、悟様が物怪であれ、娘は辛く悲しい心情を紛らわせ、気を赦したので御座いましょう。
下山し終えた頃には、神罰の様に降り注いでいた雨は止み、娘は、
傘を、御礼のつもりだと、サトリ様に手渡したそうで、
人間の中には仏の様な者もいるものだ、僕はあの娘を気に入ったと、毎日貰った傘を眺めたそうで御座います。
だからこそサトリ様は、傘に愛着を持ち、継接が出来る程、大切に為さっていた理由にも納得出来ると云う物で御座います。
それ程迄、深遠な愛着がある傘をお忘れになったと言う事は、
娘との間に、何か問題があった様にも存じ上げますが、
傘の言葉に耳を立てます。
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