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「すみません。今日はもうお店を閉めてしまって……明日、来ていただいてもいいですか?」
「悪いけどアスカ、この子お客さんじゃないよ。そこのカウンター席に適当に座ってて。すぐに救急箱持ってくるから」
徹平にそう言い放つと、ユノアは店の奥へと姿を消した。後に残された徹平は初対面のアスカに気まずさを覚えながら、カウンターの椅子に腰を下ろした。
「えーっと、初めまして。私はアスカ・リューネ。ここの店長をしてるわ。ユノアちゃんと一緒に来たって事は、もしかしてユノアちゃんの学校の生徒さんかしら?」
「あ、はい。そうです。クロス先生のお世話にはほとんどならないですけど」
「ふふっ。そっか。それは良いことね。それにしても、クロス先生かぁ。あ、コーヒー入れるから少し待っててね。砂糖はいくつ入れよっか」
「あ、すみません。二つお願いします」
アスカはたおやかな笑みを徹平に向けるとコーヒーを入れる準備を始めた。
手馴れたその上品な所作に徹平が見惚れていると、アスカが不意に徹平に声をかけた。
「ねぇ、怪我してるみたいだけどそれってもしかして、赤い髪の女の子のせいだったりする?」
「え? あ、はい。そうですけど……なんで分かったんですか? 何か心当たりでも……」
「んー、心当たりがあるというかなんというか……ごめんね。ユウカが迷惑をかけたみたいで。でも、あの子を怒らないであげて。あの子がああなっちゃったのは私のせいだから……」
「え? それってどういう……」
「遅くなっちゃってごめんね。普段使わないから探すのに手間取っちゃった」
悲しげな笑みを浮かべるアスカにその理由を聞こうとした瞬間、店の奥から戻ってきたユノアの声に遮られた。
「それじゃあ、ちゃっちゃか応急処置しちゃおっか。アスカ、私にもコーヒー頂戴。闇のように真っ黒なの」
ユノアに軽い調子で返事をするアスカの表情からはすでにさっきまでの悲しさが消えていた。
「じゃ、裸になって」
「え!? は、裸だなんてそんな……ク、クロス先生、室内とはいえ流石に……」
「いや、上半身だけだから。さっきもそうだけど、君って結構思考がエッチよね。まあ、思春期だから仕方ないか。ほらさっさと脱いで」
勝手に勘違いした羞恥に震えながら徹平は上着を脱いで裸になった。
肌を触りユノアは患部を探る。そして、患部を見つけるとそれぞれにあった処置を施していく。
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