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「おはよう、神崎くん!」
今日も来たか。
僕は小さな溜息を吐いて挨拶を返した。
「…はよ。」
「なんでそんな不貞腐れた態度とるの?!」
君はぷぅっと頬を膨らませた。
僕は苛々と言った。
「五月蝿い」
「えぇ~…」
悄然とした顔をする君。
少し冷たくしすぎたかな?
僕は口元に微笑を浮かべながら言った。
「冗談だよ。君から騒がしさをとったら何も残らないしね」
「それってどういう意味?!」
君は再び頬を膨らませたが、すぐに笑顔になって言った。
「でも、そーゆうとこも好きっっ」
前言撤回。
もっと冷たくしとけば良かった。
「ねぇ、そろそろ返事ちょーだいよー…」
「何の?」
わざと惚けてみる。
「あたしと付き合ってって言ったでしょ?!その返事くれてないじゃんよー!」
「あぁ、そんな事か」
「そんな事ってひどいー!」
涙目になって僕をぽかすかと殴る君。
僕は小さく溜息を吐いて言った。
「僕のどこがいいわけ?」
僕が訊ねると、君はにっこり笑って言った。
「全部!」
「…は?」
僕は呆れてしまった。
僕の全部が好き?
…それはないだろ。
「だーかーらー、あたしは神崎くんの全部が好きなのっ!」
照れや羞恥を微塵も見せないで君は言い放った。
僕は若干引きつつ訊ねた。
「…なんかさ、こう…もっと具体的にないわけ?」
「うん」
あっさり頷きやがる。
「じゃあ、なんで好きになったの?」
「…んー…」
そこは悩むなよ。
5秒程考えた後、君は答えた。
「ノート貸してくれたから、かな☆」
「…それだけ?」
「うん」
随分単純だな。
僕は本日3度目になる溜息を吐いた。
「なんで溜息吐くの?!」
「五月蝿いな」
「…ごめんなさい。……で、あたしと付き合ってくれるっ?」
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