未定 #2

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深夜二時、いつもより少し早く店を閉めた。何本か電話があったが、適当な理由で断りを入れた 普段であれば、断る事などない。お客の我が儘に付き合うのも仕事なのだ はやる気持ちを抑えて、片付けをする。もう香織は近くにいるはずだった カウンターにクロスを広げて、うつ伏せに洗い終えたグラスをふせていく 流しのゴミをまとめて、ゴミ袋の端を縛る。後は、明日の酒屋の発注を留守番電話に入れれば仕事は終わりだ カランと店の扉が開いた、勘弁してくれよ。そう思いながら扉を振り返った そこには香織がいた ずっと会いたかった彼女がそこに立っている 「ごめんね…待てなかった」 扉の内側に足を踏み入れたもののそこから動かない 「おいでよ」 その呼びかけで、ようやくこちらへ歩いて来る 「あのね…隆ちゃんが遅く帰って疑われるのは嫌なの」 待っている間にずっと考えていたのだろう。そんな話を切り出した 私は、カウンターから出て扉の鍵を閉めた 香織は思案顔でカウンターに座っている。後ろから香織を抱きしめる、ずっと触れたかった香織の感触 「会いたかった」 「ごめんね、電話するつもりじゃなかった。ダメだって…絶対ダメだって」 そう言いながら、カウンターに顔を伏せる もう止められない 「愛してる…香織」 決して口にする事がなかった台詞、ビクッと香織の身体が震えた しばらくの沈黙の後、香織が口を開いた 「私も…愛してる」
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