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週に一度か二度、短い時間だけが、二人の時間だった
店が始まる前の、本当に僅かな時間や、早めに店が終わった後の数時間
変わったのは、必ずしも、身体を合わせるだけでは無くなった事かも知れない
車の中で、髪を撫でられる、それだけでも満ち足りた気持になる
愛してると囁きあい、唇を重ね、少しだけ遠回りして私の家まで
寒い冬を越え、春が来る。私は大学の最後の年を迎えた
奈々は、彼の転勤で必然的に自然消滅を迎えていた
初めの頃こそ、転勤先の彼のマンションまで泊りがけで、出かけたりしていた。彼の奥さんは、仕事の絡みもあり単身で転勤していた
「やっぱりさ、いくら好きでも距離には勝てないよ・・」
それでも、未だに私の話を聞いてくれている
「隆くんにも転勤とかあればね~お互いに傷つかずに、別れれるかも知れないのにね」
卒業後の事も、考えなければいけない。けれども、地元を離れる事など、私の親は許さないだろう
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