最終章 #2

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夜がくる度に、切なさが募る。電話を受けるたび、残り少なくなってゆく 後、五日、四日・・・ 何故、こんな約束をしてしまったのだろう。初めは、ただ辛さを紛らわす事が出来て嬉しかった もう、今は辛い気持ちの方が、大きくなってしまった 電話をとらなくても、先に延びるわけでは無い 後、三日。初めて受話器に手を伸ばすのを躊躇した 長いコールを感じながら、漸く電話に出る 言葉が出ない、隆も同じなのだろう、少しの間沈黙が続いた 「香織・・」 今更ながら、何を話して良いのかわからなくなった。先の約束もない、これ迄の事など、話し尽くしてしまっている それでも、お互いに電話を切る事など出来なかった 「隆ちゃん・・・・今日も愛してるよ」 やっと言えたのは、そんな言葉だった
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