最終章 #2

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「俺もだよ、一日中考えてた」 「私もだよ・・隆の事ばかり、考えてたよ」 「そうか、ありがとうね。香織」 「どう致しまして、ありがとうね。隆ちゃん」 短い会話は、続かなかった。それで良い気がした 隆からの電話は、後二回だけ・・ 三百六十五分の二 ずっと考えているのは、最後に隆に話すべき言葉だった 「元気でね」「ありがとう」「ごめんね」「愛してる」「愛してたよ」「さよなら」 幾つもの言葉を、思い浮かべる・・ そのどれもが、最後に相応しい気がしたり、そうで無い気がした 「最後に悩むのが、こんな事だと思わなかったよ・・・」 「まあ、あんた達なりのケジメなんだからさ。きっと、その時じゃないとわかんないよね」 初めから、終わりまで知っている奈々に、堪らず電話を入れた 深夜の電話。迷惑な話だろうと思う 「掛かって来ると思ってたよ」 笑い飛ばしてくれた事が、嬉しかった
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