最終章 #2

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「おやすみ。香織いい夢見るんだよ」 毎晩、最後の言葉は同じだった。 「ありがとう、愛してるよ隆」 私の言葉も同じだった。繰り返されたやり取り、本当に明日で終わりなのだ 受話器を置いて、溜息をつく。これも、毎晩繰り返された事だ 顔が見たい、触れて欲しい、抱きしめて欲しい、キスがしたい 毎日、毎晩思ってきた。まくらに顔を埋めて、歯を食いしばって泣いた 夢など、良い夢など・・見られる筈もない
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