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この一年、何度も隆の店の側まで出掛けた。少し離れたビルの二階、ケーキの美味しい喫茶店の窓際の席
隆は、買い物の袋を抱えて五時半に店に入る。開店の準備をして、暫くすると非常階段に姿を表す
白いフェンスに両肘をつけ、通りを眺めながら煙草に火を付ける
表情までは、わからない。それでも、その数分間が見たくて、何度も店に足を運んだ
「バカみたい・・」
隆の姿が消えると、独り言でそう呟いてしまう
ある日、気が付いた。もしかして、隆は私に気が付いているのかも知れない
それでも、その事を尋ねはしない。聞いた処で何も変わらない
ある夜、隆の電話を切った後、眠れずに家の外に出た。話終えて数分だろうか
家のそばに、小さな児童公園がある。真夜中の住宅街、角にに電話BOXがポツンとある
その脇に、見慣れた車が停まっていた。グレーのハッチバック
隆の車・・・・
慌てて隠れた、静かにエンジンがかかる。テールライトが赤く染まって、闇の中に消えた
隆も、同じだった。少しでも近くで話したかったのだろう
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