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家までの帰り道、少しだけ遠回りして香織の家の前を走る
あたり前の話だが、深夜の住宅街には人影すら見えない
店から、この時間なら十分程度の距離。あまりの近さに、苦笑してしまう
家のそばで、車の速度を落とした。歩くようなスピード、アクセルも踏まない。ゆっくりと車は、家の前を通り過ぎる
ひとブロック離れた、公園の脇に車を止める。車のドアにもたれて、煙草に火を付ける
ぼんやりと、香織の家の方を眺めながら煙を吐き出した
すぐそこに、香織が居る。大声で叫べば聞こえるだろう
『会わないか?』そう言い出してしまうのは、決まって私だった
その度に、香織は寂しそうに答える
『ダメだよ・・・隆ちゃん・・・』
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