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～香織～
あの日から、毎日隆が掛けてくれる電話だけが救いになっていた
茜は、私を罵らなかった。いっその事、そうされた方が気が楽だったのかも知れない
隆の電話を待つ為だけではなく、外に出る事が何故だか怖くも感じている
仕事で、どうしても外出しなければいけない時以外、出かける事が無くなってゆく
「香織ちゃん、打ち上げどうする？」
本来は、仕事の事を考えれば、出なければいけない
「少しだけ、顔出しますよ」
笑顔で答えるものの、気が乗らない。席に座るのもそこそこに、店を出る
「ごめんなさい、次の打ち合わせがあって」
そんな事が続けば、人付き合いも希薄になってゆく。今の私には、その方が楽だった
嫌な事があっても、隆の電話にだけは、
努めて明るく出る
いつ掛かるかわからない電話。それでも、救いの時間だった
声を聞く度に、会いたくて堪らなくなる。その度に、茜と子供の事を考える
隆の感触は、時間が経っても身体から消し去る事は出来なかった
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