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最終章 #2
香織は、残り少なくなってゆく時間を、どう思っているのだろう
「会いたいね・・・」
時折は、そう話してしまう。あたり前の感情なのだ
「そうだね、俺も会いたいよ・・・顔も見たいな~、忘れちゃいそうだね」
「いっそ、忘れられたら良いのかもね」
ぽつんと、香織が呟いた。出来るだけ、明るく話をする、そう決めていてもそういった話になる事もある
「忘れられないさ、多分ずっと。俺はね・・ずっと引きずるんだ」
笑いながら、そう答える。けれど、本当にそうなる気がする
「私はね、忘れるよ。頑張って、忘れるの。そんな男、いたっけ?とか言える様にね」
香織が笑いながら、そう答える。出来れば早くそうなって欲しい
そう思う気持ちと、忘れて欲しくない、そんな気持ちが交錯する
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