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「しかし、キャラが強い…ですか」
忍さんが何かを思い出すような様子で言う。
「私はキャラが強いというよりは、よく『キャラがつかめない』と言われますが」
「あぁ…」
それは納得だった。
たしかにこの人はキャラがつかめない。
礼儀正しい人かと思えば、バリバリの下ネタも言ってくる。
かと思えば凛とした空気を出しみたりして…、今のようなボケもしてくる。
「それを相手にする方は大変だと思いますけど」
「そうでしょうね」
忍さんはあっさりと、何でもないように言った。
「ですが、それが私ですから」
再び歩き出す。
揺れる短いポニーテール。
背中には、何か強い意志を感じた。
「…開き直り?」
そんなことを口に出しながらも、俺は少し微笑んでいた。
まぁ、そのキャラがつかめないことも含めて、忍さんの個性なのだろう。
ちょっとだけ、羨ましいと思った。
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