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「む、むむむ…」
「どうした?早く見せないか。お前の実力を知らなければ、俺もどう教えればいいのか方向性が見えてこないぞ?」
顔を歪ませている朱鳥に対して、手をさらに伸ばして詰め寄る俺。
ここぞとばかりに悪い顔である。
しかし――――
「いいだろう」
朱鳥は一度目を閉じると、打って変わって自信に満ちた表情を浮かべた。
「夏休み前にやったテストでいいのだろう?好きなだけ見るがいい」
そう言って朱鳥は立ち上がる。
…あれ?
何か思ってたのと違う。
何であんなに自身満々なんだ?
まさかそんなに悪い点数じゃないのか?
いや、それだと何故家庭教師を頼んだのか分からないじゃないか。
あれ?
「…あぁ、一つ言っておくが」
困惑する俺の方を振り返って朱鳥は言った。
先程の俺よりも不敵な笑みを浮かべて、言った。
「驚きのあまり声が出なくなると思うぞ」
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