第二章 [王国襲撃] #2

1/13
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ

第二章 [王国襲撃] #2

3 冷たい牢獄にナメクジが這う。 酔った勢いで、一般人男性と喧嘩になり、一方的に暴行した後、止めに入った皮鎧の警官二人にも暴行し、逮捕され一日がたった。 警察館の地下の牢獄には、陽の射す窓がなく、牢屋の前に蝋燭の火が申し訳なく程度に灯っていた。 地下の面積は小さく、罪人を収容する牢獄はひとつしかない。 アストは不精髭をはやし、虚ろな表情で、石壁に這うナメクジを見つめ、じっとしている状態だった。 じっとしてないと、二日酔いで頭が痛いのだ。 ミレアの死、ミレアの遺体の消失…。 そのふたつの出来事が、アストの人格を数日で変えてしまったのだ。 この数日で、騎士にあるまじき行為、と何人に言われただろう…。 そのうち国王の怒りに触れ、騎士隊長の地位を剥奪されるかもしれない。 そうなると、一番の相棒、黒毛の愛馬にも乗れなくなる。 アストは時間が立つにつれ、後悔の念が芽生えてきた。 自分への批難をしているうちに、突然、階段から罵声が飛んできた。 どうやら何者かが逮捕され、警官に牢獄に連行される様子だ。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!