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第二章 [王国襲撃] #2
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冷たい牢獄にナメクジが這う。
酔った勢いで、一般人男性と喧嘩になり、一方的に暴行した後、止めに入った皮鎧の警官二人にも暴行し、逮捕され一日がたった。
警察館の地下の牢獄には、陽の射す窓がなく、牢屋の前に蝋燭の火が申し訳なく程度に灯っていた。
地下の面積は小さく、罪人を収容する牢獄はひとつしかない。
アストは不精髭をはやし、虚ろな表情で、石壁に這うナメクジを見つめ、じっとしている状態だった。
じっとしてないと、二日酔いで頭が痛いのだ。
ミレアの死、ミレアの遺体の消失…。
そのふたつの出来事が、アストの人格を数日で変えてしまったのだ。
この数日で、騎士にあるまじき行為、と何人に言われただろう…。
そのうち国王の怒りに触れ、騎士隊長の地位を剥奪されるかもしれない。
そうなると、一番の相棒、黒毛の愛馬にも乗れなくなる。
アストは時間が立つにつれ、後悔の念が芽生えてきた。
自分への批難をしているうちに、突然、階段から罵声が飛んできた。
どうやら何者かが逮捕され、警官に牢獄に連行される様子だ。
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