第二章 [王国襲撃] #2

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そして、その罵声がアストの居る牢獄に近づいて来た。 「クソッ、頭に響く」 静かな牢獄内に罵声が反響し、アストの脳を刺激する。 「あっしらを離せぇ~!」 「うるさい、速く進まんか!」 「お主、後悔するダ!」 「やかましい、とっとと行かんか!」 そんなやり取りがアストの脳に響き、声の主がアストのいる牢の前で止まった。 「あんさんは!」「お主は!」 重なった声がアストを絶望させた。 エルフのペテンと、ドワーフのタンクである。 アストは昨夜の過ちを深く反省し、大きな溜め息を吐いた。 「勘弁してくれよ…」 そして一時間後、この地下の牢獄に、ひとりの男が身柄引取人として、来訪してきた。 アストは場違いな場所に来た男の名を呼んだ。 「パ、パラガス様…」 青色の法衣を着た宮廷魔術師パラガス。 アストの幼なじみであり、かつての恋敵である。
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