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そして、その罵声がアストの居る牢獄に近づいて来た。
「クソッ、頭に響く」
静かな牢獄内に罵声が反響し、アストの脳を刺激する。
「あっしらを離せぇ~!」
「うるさい、速く進まんか!」
「お主、後悔するダ!」
「やかましい、とっとと行かんか!」
そんなやり取りがアストの脳に響き、声の主がアストのいる牢の前で止まった。
「あんさんは!」「お主は!」
重なった声がアストを絶望させた。
エルフのペテンと、ドワーフのタンクである。
アストは昨夜の過ちを深く反省し、大きな溜め息を吐いた。
「勘弁してくれよ…」
そして一時間後、この地下の牢獄に、ひとりの男が身柄引取人として、来訪してきた。
アストは場違いな場所に来た男の名を呼んだ。
「パ、パラガス様…」
青色の法衣を着た宮廷魔術師パラガス。
アストの幼なじみであり、かつての恋敵である。
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