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第五章 [ミレアの謎] #2
「ミレア、もう泣くのはよそう…」
自室で悲しみに涙するミレアに、アストが慰めた。
アストにとってミレアはすべてだった。
ミレアはアストの好意を知りつつ、また別の男性の好意にも気付いていた。
パラガスだった。
ミレアにとって二人の青年は、特別な存在だった。
自分はどちらの男性が好きなのだろう…
どちらかをいずれか断らなければならない日が来るのだろう…
そう考えると眠れない夜が何度となくあった。
「ありがとうございます、アスト様…」
ミレアは静かに答えた。
「キミは心の清らかな女性だ、すぐには心の病気は治らないだろう」
アストはミレアの肩に手をおき、優しく話した。
「治るまでボクは毎日、キミに会いに行くよ」
「あ、ありがとうございます」
ミレアは鳴咽をもらし、泣き崩れた。
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