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「何か?」
銀縁のメガネの奥から、あたしを見下ろす緋色の瞳
綺麗な奥二重の眼差しは、有無を言わせないような強い光を放っていた
メガネと同じ銀色の髪の毛が、にわかに揺れている
あ…怒ってる…
腰まであるサラサラの綺麗な髪を、無造作に一まとめにしているクルエル
こうやって怒った時とかに抑えきれない魔力が漏れ出すらしく、たまに彼の髪から肌に刺すようなチリチリとした痛みを感じるのだ
「ちゃんと…大人しく、しとく」
「お食事は、係の者に運ばせますゆえ…ご不便はないかと」
「ねぇ、クルエル。お風呂…」
「お召し替えぐらいは、ご自分でなさって下さい」
「はぁーい…」
これ以上何かを話して怒りを爆発させたらどうなるか…
その惨劇を知っているあたしとしては、大人しくしているのが一番の得策だと思い、それ以上言い訳するのをやめた
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