1.疑惑の侍女

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「何か?」 小首を傾げると、翡翠色の大きな目が細められる すべてが塗りつぶされそうなほどの漆黒の長い髪の毛が、シュルシュルと衣擦(きぬず)れの音を立てた 『妖艶』 彼女を表現するのなら、その一言に尽きる 「あ…ううん、何でもない。綺麗だなぁ…って思って」 何度も首を振ると、無駄だと思いつつエストレジャの目を凝視した やっぱり……無理か… あたしは、相手の瞳を見てその奥にある『感情』を見抜く魔力がある 『見抜く』といっても、相手がこちらに好意を寄せているのか、敵意があるのか、心の奥にあるユラユラした曖昧な…だけど、ブレない秘めた本質を読み取ることが出来る程度 ―――なんだけど
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