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「何か?」
小首を傾げると、翡翠色の大きな目が細められる
すべてが塗りつぶされそうなほどの漆黒の長い髪の毛が、シュルシュルと衣擦(きぬず)れの音を立てた
『妖艶』
彼女を表現するのなら、その一言に尽きる
「あ…ううん、何でもない。綺麗だなぁ…って思って」
何度も首を振ると、無駄だと思いつつエストレジャの目を凝視した
やっぱり……無理か…
あたしは、相手の瞳を見てその奥にある『感情』を見抜く魔力がある
『見抜く』といっても、相手がこちらに好意を寄せているのか、敵意があるのか、心の奥にあるユラユラした曖昧な…だけど、ブレない秘めた本質を読み取ることが出来る程度
―――なんだけど
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