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「……うん…。大丈夫…」
「どうかなさいました?」
扉をノックする音が、何重にもこだました
「お開けしてよろしいですか?」
キィッと音を立てて開く扉
服を着ている間、常にガーターベルトで太股に固定している護身用のダガー
お風呂に入っている時には手元に、寝る時は枕の下に忍ばせてる
バシャッと音を立てて跳ねるお湯
ソッとダガーを握り締め、扉を見据えた
大きく開け放たれた扉の向こう側に居るエストレジャは、湯気に隠れて曖昧に映っている
「あら……。すごい湯気ですのね」
間延びした声
緊張感の欠片もないけれど、それも作戦のうちかもしれない
「いっつもこんなもんだよ?」
「そうでございますか…。ところで……」
エストレジャの爪先が、湯気の中から現れた
へ?
はだ…し?
真っ赤に塗られた爪に言葉が出てこない
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