第3話  日常の始まり。

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 軽いノックの音に起こされる。ベッドから起き上がれば外はもう暗かった。  「起きた? ひかり」  「ひかり?」  私を指して、口を動かす彼。  「君の名前必要だろ?」  お互い自己紹介したのに失礼な人だ。それとも彼は私に名前をつけて、自分のものにしたかったのかもしれない。  「ひかり」  もう一度名前を呼んで、私の前に白く輝く綺麗な丸い宝石を見せる。私は喜んで飛び付いた。現金なのも恥ずかしいのも、自分で分かってるから言わないで欲しい。  「元気なさそうだったから」  彼は変態で単純な人だ。  「気に入ってもらえて良かった」  ……変態で単純で、優しい人だ。
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