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夜になると紘市は酔って帰ってきた。
「ひかりは本当に可愛いな」
紘市は酔うと馬鹿みたいに溺愛してくる。肌と肌は触れ合わないけど、やたら口が動くんだ。かと思えば黙って見つめてくる。
「何……?」
まだ口を動かしてくれた方が良いかもしれない。心配していた自分が馬鹿みたいに思えてきた。落ち着きない紘市に見られながら、黙々とご飯を口に運んだ。
「強引に連れてきてごめん」
悲しそうな目をする紘市と目が合う。酔った人って本当に厄介だと思った。仕方無く一旦食事を止めて、ベッドの方に向かう。
「…………」
ローマ字で作った言葉を紘市に見せた。
「I do not mind」
「ひかり……」
それを見た紘市は俯いて肩を震わせる。私はまたご飯を食べ始め、お腹が膨らむ頃には紘市は眠っていた。
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