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「ひかりを放せ、殺すぞ」
紘市を見た時は助かったじゃなくて、私も殺されるんじゃないかと思った。怒り狂う方がマシなんじゃないかって程。
普段、優しい笑顔の紘市が無表情でいる姿は何よりも恐ろしかった。紘市は肉に指が食い込むほど力強く男を掴んで、リビングへ放り投げる。
私はその隙にベッドの中に逃げて顔だけを覗かせた。
「あ、駄目だ。やっぱり殺す」
料理に使っていたのか、包丁を男の脳天に躊躇なく突き刺した。男は腕や脚を使って足掻くけど、その間にも液体が床に広がっていく。
紘市は痙攣し始めた男の体をがりがりと床を揺らしながら手足を刻む。ふと揺れが止まったかと思うと、もう一人の方に振り返った。
手からは黒い液体が滴ってる。
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