想像を絶する大流行

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次の日今日も減らない患者数に悩まされながら激務をこなした。時間が経てばなれるというわけでもなく更に増えている気がする患者の量にめまいがした。ふと時計が目に入る時刻ではなく日付に。今日を超えれば明日一日休みであることを思い出した途端少しだけ気分が紛れた。そうして激務を超えてナースステーションに集められた。昨日話していた会議だ。結局自分の中で結論が出せないでいたから考えてみるがどうしてもわからない。そんな時看護師長がナースステーションに入ってきた。 「昨日話したことですが、何か理由がわかりましたか?」 看護師長のその言葉に反応する人はいなかった。皆下を向き、自分に答えがないことを示している。看護師長もこの結果を予想していたのかため息をつく。 「科学者がわからないことを考えろって言われても無理な話しよねぇ・・・。」 この言葉は看護師長も考えても答えが出なかったことを示している。この事案は案外むずかしいのかもしれない。こうしていてもしょうがないということで会議はお開きになった。看護師には宿題であるかのようにこの大流行の感染経路を考えるように言われた。コレでは休みも休めないかもしれないなと苦笑する。 帰宅途中に国から一通のメッセージが届いた。それを開くと今までで感染した人数が国の人口の一割に達したことを伝える文面が几帳面なおもしろみのない文章で書かれていた。この数字は去年のインフルエンザ患者全体数と同じであり、理解できない流行の仕方に恐怖を覚えた。国からのメッセージの最後にこんな言葉が綴られていた。「なお、患者数は今後も増えることが予想される」まるで悪い夢を見ているかのような気分だった。 それでも、また考える意思を持てたのは明日が休みだったからに他ならないと思う。明日が休みであり、最悪な一日であることを私はまだ知らない。
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