休日の悲報

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私のおばあちゃんは私が五歳の頃にがんでなくなった。65歳であった。それから程なくしておじいちゃんが寝たきりの状態になった。おじいちゃんは極端に家族に迷惑をかけることを嫌い、全自動の家で一人で暮らしていた。今は寝たきりの年配者でも一人で暮らせる時代だ、おかしなことはない。毎日通話という形で家族との交流もできるし、異変があれば機械が医者や家族に知らせてくれる。おじいちゃんの口癖は「わざわざ会いに来る必要なんかない。」だった。本人もその生活に満足していたし、本人の希望でもあったので家族である私達はそれに甘えた。姉夫婦の息子つまりおじいちゃんの孫ができた時に孫に会いたがったくらいでアルツハイマーも発症しておらず寝たきりの状態以外は健康そのものだった。そんなおじいちゃんが亡くなったことは私にとって信じたくない事実であった。もともとおじいちゃん子でおじいちゃんの介護をするために看護師になったのだ。おじいちゃんを説き伏せ笑顔で待ってると言ってくれたのだ。そんなおじいちゃんが死んだなんて、実家に向かっている間気が気ではなかった。 1時間かけて実家についた時、一番最初に見えた光景は和室で白い布団に寝ているようにしか見えないおじいちゃんとおじいちゃんを囲むように座っている黒い服の親戚だった。その光景がより一層おじいちゃんが寝ているのではなく、死んでいるのだということを実感させた。 「月乃・・・。」 お母さんが私のことを呼ぶが、私はなんだかどこか遠くで聞いている用な感じでよくわからなかった。返事も何もできなかった。ただ、ゆっくりとおじいちゃんに近寄るのみだった。 「月乃・・・・。」 お母さんがもう一度呼ぶが、反応できず、おじいちゃんのもとについたとき、すとんとちからがぬけた。そこはちょうど手がある部分に近かったため、布団の中に手を入れてそっと握ってみる。冷たい手。私はこの冷たい手を何度も握ったことがあるが未だに慣れはしない。自然と涙が出てきた。そこには確実に何かが足りていなくて、何が足りていないのかもわかっていた。 「・・・待ってるって・・・待ってるって言ったのに。おじいちゃんの嘘つき・・・。」 やっと言えたのはそんな言葉でその後は嗚咽でなにも言葉に出来なかった。それから葬儀はつつがなく行われた。何故か自分だけが置いて行かれたような気がして無気力感に苛まれた。
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