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「えへへー、さっき向こうの林で遊んでいたら草むらに隠れる様にこの子が倒れていたんです。そのままにしたら風邪ひくなー、って思って連れてきたんですっ。」
良い事したでしょう?と言わんばかりに、にっこり微笑むものだから頭を優しく撫でると、猫目の瞳を細め更に愛らしく笑った宗次郎。
「うぉいぃぃぃっ!!馬鹿かてめぇはっ!ちゃんと説明しろっ!宗次郎っ!」
先程まで固まっていたが、現状を理解したらしい土方が宗次郎の頭をがしり、と掴んだ。
「あぁ、土方さん居たんですね。存在感が無さすぎて気付きませんでした。今僕は嶋崎さんとお話しをしているので、後で構ってあげますから、今は一人で素振りでもしていて下さい。」
「ぁあ"んっ?!誰がてめぇなんかに構って貰いたいって言ったんだコラッ!泣かすぞっ!」
「もう、煩いです。ぎゃあぎゃあ騒がないで下さい。 」
先程までの愛らしい表情は何処へ消えたのか、べーっ!と舌を出しながら悪態をつきだした宗次郎に勇は苦笑いをするしか無かった。
「トシ。落ち着け。相手はまだこんな小さい子供だ。あんまりムキになってやるな。宗次郎もだ。からかうのもいい加減にしなさい。」
「あ、あぁ、すまん。」
「すいません。」
そう言うと土方はバツの悪そうな顔をし、宗次郎は大好きな勇に叱られたのでシュン、と肩を落とした。
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