インフル翔君のお熱な1日(前編)

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*** 回る、回る、グルグル回る。 真っ白な空間の中でひとり浮かぶ俺は、ぼうっと不思議な感覚に身を任せている。 冷たいような、温かいような。 穏やかなような、激しいような。 柔かいような、硬いような。 そんな得たいの知れない何かに包まれながら、俺は無気力に4本の手足を力なく投げ出しているだけだ。 何故俺はこんな場所に居るんだろうか‥‥‥‥まあ、いいや。の無限ループを繰り返す。 ふと、自分は生まれた時からここに居るんじゃないかと思ったが、本能がそれをどうしてか拒絶していた。 『‥‥‥翔』 誰かの声が聞こえた気がした。自分しかいないはずの閉じられた世界の中で。 『‥‥‥翔』 2度目でそれが、誰かが誰かを呼んでいることに気がつく。 『‥‥‥翔』 3回目でやっとそれが自分に対してであるのだと理解する。 『‥‥‥翔』 4回目でそれが、自分の親しい人からだと曖昧に悟る。
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