インフル翔君のお熱な1日(前編)

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あいつが俺を呼んでいるのだろうか。 無意識にそんな考えが頭のどこからか湧き上がってくる。 麻痺したようにピリピリ痺れる脳で必死に信号を伝えて、俺は声のする方向も分からずに、闇雲に腕を空白へと伸ばした。 「‥‥み‥‥‥‥‥」 自分のものとも分からない掠れた声が、全文を聞き取る前に掻き消える。 それでも俺は気に留めもせずに、今度は指先まで真っ直ぐな棒へと変化させた。 戻らなきゃ。 何となくだけど、自然とそう思った。 戻った先がここよりもひどい世界だとしても、でもどうしても戻らなきゃ。 根拠もない。 理由も思い出せない。 まあ、大丈夫だろう。 戻っていくうちに思い出せるはずだ。きっと。 「つっ」 いきなり閃光のようなものを浴びたと五感が感じとり、反射的に目を瞑る。腕だけは怯まずに、あるはずのないものへと伸ばし続けた。 『‥‥‥翔』 白よりもっと眩しい何色かに導かれ、5回目の呼びかけで俺は‥‥‥
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