第一章 大失恋のその後で

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   いつもなら駅まで勝也に送ってもらって、さよならしてから電車の中でメールをする。  今日も、そのつもりだった。 「今日は、まだ離れたくないんだよな……」  もうすぐ駅って場所で、勝也がポツリと言った。それを言う為に、緊張してたんだ。  そして、その言葉の意味も分かった。  キス以上の事がしたい。  勝也の目が、そう言ってるように見える。  付き合って三ヶ月。何も無いなんて、男の人にとって我慢できないのは何となく分かる。  それに、私だってそれを望んでる。 「うちに来る?」 「良いのか?」 「うん、もう三ヶ月だもんね。それに、聞いてもらいたい事もあるし」  いつか話そうって思ってた事を、話すタイミングは今じゃないかって思った。  あの事を話しても受け入れてくれるなら、そう考えて少しだけ顔が赤くなった気がする。  二人とも、無言で電車に乗ってた。
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