第一章 大失恋のその後で

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   そして、小学校に上がる前。  あの時の父親の目も、この中のどれかにあったような気がする。  私が元性同一性障害だったって事を、みんな知ってるって顔に見える。  それは、勝也が喋った為だとすぐ分かった。 「勝也……」  トイレから出てきた勝也は、私を他人でも見るみたいな顔をした。それどころか、汚いものでも見るみたいな目で、一瞬だけ見て仕事に行ってしまう。  勝也は、性同一性障害だなんて言わなかったかもしれない。もっと酷い事を、みんなに言いふらしたんだ。  その直後、店長に呼ばれた。 「あの、店長……」  私の事を呼んでおいて、店長は何も言わなかった。まるで私が、何かを言い出すのを待ってるみたいに見える。  それに、変な威圧感も発してる。  ほんの数分だけど、頭の中で色々と考えた。  店長は、勝也が話した事を説明させたいんじゃないかとか。  職場の雰囲気を悪くした事に対して、謝罪の言葉が欲しいのかとか。
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