第一章 大失恋のその後で

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   どっちも、違う気がした。  店長が欲しい言葉は、ひとつしか無いってすぐに分かる。今まで何度も、自分の意思とは関係なく発して来た。  その言葉を、要求されてるんだ。  ワタシガ ココカライナクナル。 「店長。私、辞めた方がいいんですか?」  精一杯の抵抗だった。  私の考え過ぎで、店長に状況の説明を望んでる。ちゃんと説明するチャンスを、貰う為の言葉だった。 「いや、うちとしても急に人手が減るのは厳しいが、雰囲気と言うのもあるしね。花咲くんが、そう考えてるなら仕方ないか」 「えっ、ちょっと……」  私は、職を失った。  店長に根掘り葉掘り聞かれるよりは、何倍もマシだった。だけど辞めさせられるなんて、少しも思ってなかった。  性同一性障害だった事は、そんなに悪い事なの?  仕事まで、奪われなきゃいけないくらい特別な事なの?  更衣室に入って私物を片付けてると、一番仲がいい女の子が入ってきた。
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